Web株主通信

第80期Web株主通信

1.トップメッセージ

トップメッセージ

株主の皆様には、日頃より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

ここに第80期(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の事業の概況並びに決算の結果をご報告申し上げます。

2023年6月

代表取締役社長 大東 洋治

事業の概況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスによる行動制限が段階的に緩和され、経済活動が平常へと回復していく明るい兆候が見られました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻が続き、新たな地政学リスクに晒された中での経済活動を余儀なくされました。半導体を始めとする原材料不足による企業の生産スケジュールの混乱、エネルギー資源の高止まり及び食糧供給の不安定化、さらには欧米が実施したインフレ抑制の利上げ対策に影響された為替の乱高下及び金融システム不安などもあり、経済の回復歩調は一進一退の状況で推移しました。

このような状況下におきまして、当社グループは「安全・迅速・信頼」をモットーに、国民生活と企業活動のライフラインを支える物流業者として、如何なる時世にも顧客に対する輸送責任を果たす「堅実な兵機」との信頼を得るべく、事業展開を進めてまいりました。

内航事業では、所属船団の維持と効率配船に努めましたが、航海数及び輸送取扱いトン数が伸び悩みました。また、燃料油価格の高止まりや船舶維持管理コスト増が利益を圧迫しました。

外航事業では、第3四半期末まで建機類の輸送やスポット案件が好調に推移したことに加え、ドル建て海上運賃の収益改善を受け、前期実績を大幅に上回る売上・利益を確保できました。

港運事業では、前期マイナス要因となっていた海上運賃高騰や海上コンテナ不足などの事案は解消しました。倉庫部門及び国際輸送部門などの他部門と連携し、新規貨物受注に努めました。

倉庫事業では、兵庫埠頭物流センター内に3棟目となる危険品倉庫を増築し、危険品取扱いの更なる強化に努めると同時に、大阪物流センターでの毒劇物貨物の集荷営業を展開しました。

これらの結果、当連結会計年度の実績は、次のとおりとなりました。

当期の売上高は18,387百万円(前期比2,300百万円増 114.3%)と増収になりました。なお、第4四半期に老朽化した倉庫の修繕実施39百万円、人的資本投資の一環として従業員へインフレ特別一時金30百万円を支給しました。また、社内規程(賃金規則)の改定により、賞与引当金の対象期間を見直し、2023年度の夏季賞与支給見込み額158百万円を当期末で引当計上したことにより、第3四半期決算開示時点で累計798百万円であった経常利益は609百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は442百万円(前期比83百万円増 123.2%)となりました。

次期の見通し

次期の経営環境の見通しにつきましては、欧米に遅れながらもウィズコロナへと一歩進んだ日本国内の景気は、個人消費の増加やインバウンド需要の回復が内需拡大に寄与し、緩やかに回復していくと予想されます。しかしながら、ウクライナ危機の長期化懸念、米中対立の深刻化など、国際情勢の複雑化や社会経済構造の変化に関連し、経済安全保障政策が強化されております。特に海外貿易の分野では、自由で効率的な企業活動に一定の制限を受ける事による物流の停滞、ならびに欧米の主要中央銀行の利上げと金融システム不安による、世界的な景気後退が国内経済に波及する懸念が拭えません。

そのような状況下、内航事業では船舶燃料油価格高止まりが続いており、また、安全運航維持に欠かせない船体ドック費用及び新船建造費の高騰もあり、企業利益を圧迫しております。引き続きコスト上昇分を価格に反映できるよう、顧客にご理解をいただく交渉を続けてまいります。また、船員の安定的確保には待遇、労働環境の改善及び若年船員の人材育成が不可避です。船舶リプレイス計画としての新船建造の際には船員育成登録船を増強し、国内物流の一翼を担う基幹的輸送インフラの内航海運業者として、社会的使命を果たしてまいります。

外航事業では、当期好調だった建機類の輸送の代替航路として中国経由、中央アジア向け貨物の獲得を目指します。また、海外プロジェクト案件の集荷代理店契約先と中国船会社との三国間協定を締結し、三国間輸送の取扱いに注力してまいります。国際複合輸送事業につきましては、スポット案件の受注に努めるとともに、欧州、南米など輸送実績の無い国での輸送サービスの提案ができるよう、新規海外代理店との提携を推進してまいります。

港運事業では、事業連携に欠かせない海上コンテナ輸送業者、トラック輸送業者への業務委託に関して間近に迫っている2024年問題、すなわちドライバー不足による物流の停滞が港湾地区においても業界全体の喫緊課題として対応策を講じる必要があります。顧客に対し早期に周知し、コスト上昇分の価格転嫁に理解を求め、これまでと同様の物流サービスを提供できるよう、当社協力会社のネットワークを強化してまいります。また、売上高は増収しているものの、営業利益率は伸び悩んでおりますので、管理経費の圧縮及びシステム運用を活用し業務効率化を進め、収益性の改善に努めてまいります。

倉庫事業では、昨年11月に兵庫埠頭物流センター内に3棟目となる危険品倉庫を増設しました。開設と同時に満床となり、作業品質面も含めて顧客より好評価をいただいております。今後は、姫路地区、大阪地区はもとより、地方港においても当社元請けで危険品貨物の取扱いができるよう、パートナーとなる危険品取扱業者の協力体制を構築してまいります。一方で、普通品倉庫で取り扱う一般貨物の作業料金及び保管料金に関しましては、他のセグメントと同様に既存顧客への値上げ交渉を進め利益率を改善させるとともに、倉庫部門独自の営業展開も強化し、国内外貨物を問わず集荷営業に努めてまいります。

配当について

当社は、「グループの業績及び今後の事業展開を勘案した安定的かつ積極的な配当」と定め、安定配当を基本としつつEPS(1株当たり当期純利益)100円を上回る場合は配当性向30%レベル又は1株当たり50円のいずれか高い基準での配当を方針としております。

この方針に基づき、第80期の期末配当につきましては、1株につき115円とさせていただきました。


100年企業を目指し、役職員一丸となり社業の発展に取り組んでまいります。株主の皆様におかれましては、ご理解をいただき、今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申しあげます。

配当について

2.事業別概況

海運事業

【内航海運】

上半期の鋼材及び原材料スクラップの鉄鋼輸送は、前年同期比で28%増と好調に推移しましたが、下半期は荒天による停船やメーカーの出荷調整などで伸び悩み、通期では前年同期比4.5%減の輸送量となりました。また、所属船の傭船料改定、燃料油価格の高止まり及び船舶維持管理コスト増、さらには乗組員の退職による社艀の不稼働などの影響もありました。

結果としまして、取扱量が1,739千㌧(前期比93.9%)と減少しました。売上高は6,729百万円(前期比97百万円増 101.5%)と微増となりましたが、営業利益は164百万円(前期比108百万円減 60.1%)と減益になりました。

売上高 6,729百万円
セグメント利益 164百万円
内航海運売上グラフ
【外航海運】

当社が極東ロシア向けとして定期的に海上輸送を請け負っていた主力国内貨物は、期初より輸出が取り止められ、配船計画の見直しを実施いたしました。一方で、新たに受注した建機類の輸送が好調に推移した事に加えて、円安ドル高の為替相場において、ドル建て運賃の海上輸送契約が利益を押し上げました。しかしながら、第4四半期は建機類の輸送契約が終了したことにより、再度配船計画の見直しを迫られました。

結果としまして、売上高は3,129百万円(前期比1,162百万円増 159.1%)、営業利益は247百万円(前期比138百万円増 227.1%)と大幅な増収増益になりました。

売上高 3,129百万円
セグメント利益 247百万円
外航海運売上グラフ

港運・倉庫事業

【港運事業】

2020年半ばから続いていた、海外港湾労働者不足や海上コンテナ不足による海上輸送費の高騰は落ち着きを取り戻しました。一方で、原材料供給不足による輸出入スケジュール遅延や昨年12月以降の中国ゼロコロナ政策見直しに起因する急激な感染拡大により中国発着貨物の取扱量減少など、不安定な状況下での営業活動となりました。前期より堅調な小売り用食品輸入取り扱いを維持させつつ、倉庫部門など他のセグメントと一体となった営業活動を推進させ、新規貨物の獲得に努めました。

結果としまして、売上高は6,867百万円(前期比882百万円増 114.8%)と増収になりましたが、営業利益は66百万円(前期比17百万円減 79.1%)と減益となりました。

売上高 6,867百万円
セグメント利益 66百万円
港運事業売上グラフ
【倉庫事業】

兵庫埠頭物流センターでは、前期末に倉庫用地を取得したことにより、原価の圧縮効果が見られました。また、前期に引き続き危険品貨物取扱が順調に推移しました。大阪物流センターでは、小規模ながら高単価の毒劇物取扱いが軌道に乗り始め、収益の改善が見られました。姫路地区倉庫においては、輸出鋼材貨物の取扱いが堅調に推移し、収益の底上げができました。一方で、倉庫事業全体として普通品貨物の作業や保管業務は、収益性が改善せず苦戦を強いられました。

結果としまして、売上高は1,660百万円(前期比156百万円増 110.4%)、営業利益は70百万円(前期比47百万円増 311.3%)と増収増益になりました。

売上高 1,660百万円
セグメント利益 70百万円
倉庫事業売上グラフ

3.株式について

株式の状況(2023年3月31日現在)

発行可能株式総数
    4,000,000株
発行済株式の総数
    1,224,000株(内 自己株式 39,641株)
資本金
612,000,000円

大株主

株主名 持株数(株) 持株比率(%)
共栄火災海上保険株式会社 67,100 5.67
ふたば会(取引先持株会) 56,515 4.77
各務 正人 45,000 3.8
兵機海運株式会社従業員持株会 33,446 2.82
株式会社みなと銀行 29,000 2.45
有限会社山広運輸興業 28,500 2.41
大東 洋治 21,800 1.84
株式会社三井住友銀行 20,200 1.71
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 20,000 1.69
株式会社SBI証券 18,335 1.55

所有者別株式分布状況

所有者別株式分布状況グラフ

所有株数別株式分布状況

所有株数別株式分布状況グラフ